『Nobody Knows You. 』vol.03


『Nobody Knows You.』vol.03

made in Fukushima
material : Paper
size : 41cm×27cm 63項
price : 1200yen

先日ご紹介させて頂いた同人誌『Nobody Knows You.』vol.03は、文字通りこれまで3冊が発刊されています。発刊人からお声掛け頂き、私も続けて寄稿しています。書いた内容といえば、それはやはり服のこと。書きものには人があらわれるもので、友人が書いたものに「なるほど」と膝を打ったり、そんな一面もあったのかと驚くことがあります。創刊号は売り切れておりますが、vol.02と今回のvol.03
は店頭にて取り扱い中です。ぜひ、ご覧くださいませ。


むかし「服は言葉を持たないから、スタッフが代わりに喋らなくちゃいけませんよ」と耳にしたことがある。言えば、それは時と場合による。展示会の際、等しくハンガーに掛けられていても、こちらに呼び掛けてくる服がある。詳しく話すと怪しまれるけれど、ひとつだけ突出しているのが稀にあって、触れられるのを待っているというかんじ。未洗いのものだったら、「一度洗ってみてよ、化けるから」という風に話しかけてくるのだ。新品のうちは素っ気ないけれど、繰り返し着ていくうちに確実にその人に馴染む服。「放っておいても売れるものは売れる、いかに扱う服の存在意義を引き出すか。売れないからって、悪い服とは限らない。着こなせないだけでしょ。皆がそっぽを向く服を、似合う人に届ける事。それこそが仕事だよ」「いまのバイヤーは駄目だね。売れる事ばかり考えている。質の良いもの、職人が手をかけたものづくりに全く目を向けていない。文化もないがしろ。売れるのはみんな同じ形、そして時期が来ればセールだろ。売れないのはお前らの目利きがなってないからだよ」いろんな先輩たちの声がよぎる。作り手であるデザイナーと、使い手の皆さんを繋ぐのが私たちの役目。じっくりと、ものを観察しなければならない。いくら見ても、まだまだ慣れることがないのが面白味でもある。いまのようにネット検索が普通でないときは、デザイナー自ら直接教えてくれたり、書面でシーズンイメージを説明したものが配布されていた。半年ごとに新作が発表される服業界のシステムに異を唱える方もいるけれど、考える側、作る方にとってそれは本当にもう難産。毎回毎回、「シーズンテーマは何?」ってバイヤーに聞かれたら嫌にもなるかな。「作りたいものを作る、いつもそれは変わらないよ。本音はそうだよね」「自分が着たいかどうか、それに尽きる」そう話すデザイナーたちがいます。古い資料を整理してたら出てきたEngineered Garmentsのプレスリリース。いまでも変わらぬ芯が、そこに記されている。紙でもWEBでも、字面に踊らされないこと。「手で触って覚える」pickandbarnsが伝えるもの選びの芯は、これに尽きるかな。

saKae

– Engineered Garments –
1999年、日本未紹介アメリカ製品の開拓、開発に少しずつ限界を感じ始めてきた時期に、それまでの経験と知識を生かして既存のアメリカのメーカーでは不可能な、本当に自分たちの求めるものを自分たちで作ってみたい、もう消えてしまったアメリカの良き時代の優れたデザインを再編した完全なるアメリカ製のオリジナル商品を作ろうというのがこのプロジェクトの始まり。当時まだブランドネームの草案も無い頃に、プロトタイプのパターン制作が始まり、この仕事を委託したボストン在住のパターンメーカーが、何度も重ねる修正依頼に驚き、これはもう単純なメンズスポーツウェアというよりも、ミリタリースペックに近い、巧みに計算された洋服、まさにエンジニアド・ガーメントだとコメントしたのがブランドネームの由来。

Elements
EG(Engineered Garments)のエレメンツは、古き良き時代のアメリカ。19世紀末から1930年代、50年代、60年代、70年代、それぞれの時代に象徴的だったクラシック・テイラーリングから、スポーツウェア、ワークウェア、ミリタリーウェアなどの優れたマテリアル、ディテールを再認識、そして再構築すること。小規模のハンドクラフトマンシップと大規模なマスプロダクション、両極端にみえるどちらもアメリカ製品がアメリカ的であるための要素であり、このバランスを改めて理解すること。

Fabrics
05春夏のメインファブリックは、サンタン色のサンフォージャークロスと、生成り色のドリルクロスツイル。特にサンフォージャークロスは、通常ボートクロスと呼ばれ、いわゆるボートを保護するカバー地に使われるもので、厚手の12オンスや10オンスのものはキャンバス(平織り)で作られ、今回使われているのは薄手の7オンスで、このウェイトのものだけがドリルツイル織り。この生地の魅力は見た目の非常にアメリカ的なところはもちろん、実際に生地を織る紡績工場がほぼ海外(特に中国)に依存している現在、数少ないアメリカのミルで織られる本物のアメリカの生地であること。おそらく最初に開発されて以来100年と変わらない生産の仕方で、古い時代のデニムと同じく現代は異質な生地幅の細さ(36インチ)のままであり、製品に使った場合も何故か、その時代のデニム同様の表情があり、洗われていくたびに味わいが出るところも非常に近い。

Style
EGの目指すのは、良き時代のアメリカが好きな、へそまがりの大人のための地味な普段着。ファッションではあるけれど、トレンドやモードからはかけ離れた分野である独自のスタイル。高品質素材で高価格のものや、イタリア製や日本製の縫製クオリティの高さなどとは全く違う価値観であるアメリカ製品としての個性や味を大切にすること。左足がよれるリーバイスのジーンズや、襟ラインがよれてさまになるヘインズのTシャツのような本当にアメリカらしい完成された未完成品を作ることが永遠のテーマ。(Engineered Garments 2005 Spring Profileより)